「想像を超える建物を作りたい」。
積み重ねた経験と対話が、ブレイクスルーの原動力になる。
東京設計部 室長
澤野 公人Sawano Masato
- 資格
- 一級建築士
- 得意分野
- 戸建注文住宅
- 経歴
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1980年
- 神奈川県生まれ
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2012年
- 三井ホームデザイン研究所入社
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1980年
- 受賞歴
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2016年
- Design Competition 優秀賞
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2018年
- Design Competition 最優秀賞
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2020年
- Design of the Year 上期最優秀賞
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2016年
家はライフスタイルを
作り出す場所。
対話を重ねてこそ、
見えてくるものがある
三井ホームデザイン研究所に入社以来、多くの注文住宅を手掛ける澤野が重視するのが、お施主様との対話だ。「私の仕事は、お施主様の要望をただ図面に引き写すことではありません」と澤野は言う。「お話を聞いて、細かく会話を重ねていく。すると、漠然としていたイメージが具体的な形になって、お施主様と私が同じほうに向かって進めるようになるのです」。そのためには何度も打ち合わせを重ねる必要があるが、澤野はその時間を惜しまない。「建築士にとって、要望をかなえるのは当たり前のこと。お施主様が想定していなかった提案ができて、喜んでもらえたときは達成感があります」。
入社前、澤野は注文住宅以外にも個人店舗や輸入住宅、テナントビルといった大型施設など幅広いジャンルの設計に関わってきた。こうした経験と知識は澤野の大きな強みだが、そこにこだわりすぎないよう気をつけていると言う。「お施主様の要望に応えるためにこそ経験を活かせるよう、いつもニュートラルを心がけています」。積み重ねた経験と知識、それにお施主様との対話。どちらもデザインに欠かせない両輪なのだ。
「軽井沢の教会のイメージ」で「神道系の施設」……
バラバラのキーワードを対話の積み重ねで一つの形へつなげていく
自身が手掛けた設計の中でも特に印象的だったと澤野がふり返るのが、神道系の教会を併設したご自宅の設計だ。「神道系で洋風、というご要望だったので戸惑いました」。しかし、お施主様と話してその謎は氷解。こちらの神道系施設として、ほかにも自由な雰囲気のモダンな教会が散見されたのだ。これならできる――と手ごたえを感じたものの、教会ならではのむずかしさもあった。教会には、人が集まるホール、控室、演奏のためのスペースなどが欠かせない。何に使用するのか、どのくらいの広さが必要か、一つひとつ確認し、細部を詰めた。
一方で、お施主様との打ち合わせだけでは解決できないことがある。その一つが、アプローチの段差だ。「図面を見ただけではイメージしづらいものですが、実際に作ったら“イメージとちがった”ということは避けたい」。そのため、街なかで設計に近い階段を探し出し、実際にお施主様に上り下りして確認してもらったこともある。やわらかな明るさの中にもおごそかな空気をまとう教会は、細やかな対話と慎重な作業の積み重ねで完成した。
環境と技術が響き合う
デザインにチャレンジしたい
澤野にとって、建築士とは単に美しいデザインを提案する仕事ではない。「建築士は、デザイナーであるとともに技術家です。」と澤野は力説する。「建築資材は進化が速く、新しいものがどんどん出てきています。新しい技術や資材は、まず大型施設から使われることが多いのですが、そうした新資材を将来、住宅で使えるようになれば、新しいデザインが可能になるでしょう。新しい資材を使うと構造の計算など課題も増えますが、住宅のおもしろさは、住む人や環境によってデザインが変わるところ。新しいデザインが新しいライフスタイルを生むかもしれない。大変さよりもやりがいや期待が大きいですね」。
最新技術と住まいと環境の融合。今、澤野が見ているのは、建築の未来と広がりなのだろう。
大きな旅でなくていい。
息子と見る、いつもとちょっとちがう景色が元気をくれる。
澤野にとって、リフレッシュは仕事と完全に離れた時間を過ごすことだと言う。以前は山歩きが趣味だったが、「息子と磯遊びをするようになって、海の楽しさに目覚めました」と照れ笑い。「大きくなったらいっしょに遊ぶ時間もなくなってしまうかもしれないので、今はできるだけいっしょに過ごすようにしています」。そう話すときだけは、建築士・澤野ではなく父親の顔になる。
緻密な計算とていねいな対話が、
想像の向こうへ飛び立つ翼をくれる。