お客様の小さなひと言から真意をくみ取り、
イメージを共有して、断片から全体を紡いでいく。
目指すのは、住む人の将来を考えたデザイン。
東京設計部 部長
緑 幸寿Midori Koji
- 資格
- 一級建築士
- 得意分野
- 戸建注文住宅/医療施設/多棟口プロジェクト
- 経歴
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1976年
- 東京都生まれ
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2006年
- 三井ホームデザイン研究所 入社
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1976年
- 受賞歴
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2007年
- HOUSE OF THE YEAR 専用住宅 入選(共同設計)
- HOUSE OF THE YEAR 専用住宅 入選(共同設計)
- HOUSE OF THE YEAR 専用住宅 佳作(共同設計)
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2010年
- HOUSE OF THE YEAR 非専用住宅 大賞(共同設計)
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2011年
- HOUSE OF THE YEAR 非専用住宅 優秀賞
- HOUSE OF THE YEAR 非専用住宅 優秀賞(共同設計)
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2018年
- DESIGN OF THE YEAR 上期特別賞
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2007年
その先の暮らしを見据え、
住みやすさが続く家づくりを提案
「人口が減っていく今だからこそ、単に戸建てを並べるだけでなく、街並みを意識した家づくりを求められるシーンは多いと思っています」と、チーフデザイナーの緑 幸寿は語る。注文住宅や戸建賃貸住宅をはじめ、医院から低層の集合住宅まで、多種多様な木造建築でのキャリアを重ねながら、複数の戸建てや集合住宅からなる特色ある街並みを提案する多棟プロジェクトでも非常に高い評価を得ている、街並みづくりのプロフェッショナルでもある。
「たとえば家族とともに暮らす家であれば子育てに適した街並みが欲しくなりますし、また、医療機関であれば患者様が入りやすいように地域に開かれた雰囲気が大事になります」と、環境と地域に根ざしたデザインを考慮した設計の重要性を説く。また、入居者やユーザの目線を考慮した設計も忘れない。それらは将来にわたっての住みやすさを担保し、ひいては資産価値の向上にもつながっていく。それが緑の目指す「家からはじまる街並みづくり」の核心である。
調和のとれた家づくりで
住む人の気持ちまで和やかに
子育て世代をターゲットにした4棟6戸の賃貸住宅のコンセプト、それは「コミュニティが生まれる場」であった。地域で暮らす人々が集い、穏やかな日々を過ごす場とするため、この場が一つの街となるように細部から詰めたと言う。そのひとつが白い外壁と外構の色の統一や、エントランスのアーチ上端と窓の上端を揃えるといった小さな配慮の積み重ねだ。
「外観など、アンバランスな部分があるだけで、ご入居者様に悪い印象を持たれてしまいます」と、その理由を話す。細部の仕上げにこだわる姿勢は、住まいに対する不満を事前に取り除くだけでなく、今その場に集う人々に心の安寧を与え、穏やかな毎日を糧とした豊かな将来への予感にもつながっていく。
同じく、キッチンの窓の位置や陽射しの入り方や外構に植える下草、窓越しに見える向かいの家の印象など、最終形を意識した家づくりにも配慮する。「設計して終わり、ではなく、外構担当者や工務店さん、営業担当者との意思疎通を図り、協業することも理想の街並みの実現には欠かせません」と、全体を見渡すことの重要性にも言及する。
最適なデザイン、それは
施主との打合せの中から見えてくる
施主との打合せを納得ゆくまで繰り返す緑にとって、デザインとは単に形態を作ることを意味しない。「地域の良さや、住み手のことを考えるお施主様の思いこそが核になるべきで、デザインとはその思いをカタチにする作業の一つと考えています」と、自身の考え方を説明する。人が家に合わせるのではなく、人の暮らしに寄り添う家づくりだ。「さらに、集合住宅などで住人同士のコミュニティが活性化を促す工夫など、地域デザインや環境デザインにまで幅を広げていきたいと想っています」と、言葉を重ねる。
たとえば8棟8戸の戸建ての賃貸住宅では、打合せの中で「子育て」というコンセプトが生まれ、子どもとその親への配慮という設計要件を強く意識したという。「だから子どもが騒いでもいいように各戸を適度な距離感で並べ、近所の子どもが集まって遊べるような工夫もしました」と、緑はコンセプトからデザインが導かれていく過程を説明する。そして緑地が配置され、石畳の中庭にはベンチが置かれ、歩車分離された路地が姿を現す。そのイメージを図面に起こし、施主と認識を共有していく。このように施主と足並みを揃え、同じ目線で立つ姿勢の中に緑が目指す家づくりを見ることができる。
天空からの眺望は圧倒的で、
山小屋のご主人との話も面白い
「登山好きな母に連れられて三歳くらいから山には登っていました」と、話すように、緑の趣味は登山や釣りである。子どもを持ってからはかつて彼の母がそうしたように、緑もまた子どもの手を取ってともに山頂を目指す。
「百名山を毎年3山くらいのペースで登っています。子どものペースに合わせるので景色を見たり、写真を撮る余裕ができていいですね」と笑う。二度目の山も、子どもと一緒に登ると今までと違った発見があって新鮮なのだとか。山では普段出会わないような人と出会えるのでそれも楽しみとのことだ。
海外に行くと街角のベンチに人々が集い、楽しんでいる姿をよく見ます。
でも、それはベンチがあるから人が集うわけじゃない。
居心地が良いからなんです。僕は、この違いにこだわりたいと思います。